経営者インタビュー

『我々は情報格差(デジタル・デバイド)の解決に誇りを持って取り組んでいます』 ~パキスタンの一般・企業向け情報通信関連企業マネージャーに聞く パキスタン

2017年2月28日(火)16:20

PMCL Mobilink
Mr. Waleed Pervaiz (Manager)
Pakistan
 
 
PMCL Mobilink Mr. Waleed Pervaiz (Manager) PakistanHIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
 
今回、パキスタンで一般向け・企業向けに音声通話サービス、データ通信サービス等を提供する情報通信関連企業のマネージャーにお話しをうかがいました。
 


-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
 
 
当社モビリンクはパキスタンにおける音声通話とデータ通信サービスの主要なプロバイダーで、クオリティの高いサービスと革新的な製品の提供を通じ、人々をつなげていく事業を行っています。当社は1990年、パキスタン初のGSMセルラーモバイルサービスとして事業を開始しました。現在では5千万人の契約者と、契約社員・正社員あわせて6千人の従業員を擁しており、最新かつ総合的な技術、モバイル産業における最大の包括的付加価値サービス、そして次世代のインターネット技術や国内最大のネットワークを提供するブロードバンド事業を通じ、モバイル産業界で市場をリードしています。我々の有する国内最大のネットワークは9,000か所を越える基地局によって支えられ、日々、顧客の皆様によりよいサービスを提供しています。
 
当社はパキスタンで最大のサービス提供地域を誇り、多くのコンタクトセンターを有し、6,500kmという飛びぬけた距離の光ファイバー網を維持しています。そのためにこれまで国内に行った投資は9億ドル以上にのぼります。また、これとは別に、3Gの通信規格を4Gにアップデートし顧客により優れたサービスを提供するため、社内システムの更新やマーケティング費用も含め、1億ドルを投資しました。当社は国内全体を網羅する高品質の通信網を有し、素晴らしいカスタマーサービスを実現しており、当社のサービスを国外でも利用できるという国際ローミングが可能な国は、世界140か国にのぼります。
 
 
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。

 
当社は、「熱心であること」、「プロフェッショナルであること」、「目的をもって進んでいくこと」、という3つの価値を非常に重要だと考えています。我々は単に国内で最高の遠距離通信プロバイダーとなることをめざすだけでなく、パキスタンの遠距離通信サービス事業全体を強固かつ革新的なものとしていくことに寄与していきたいと考えています。
 
我々は、地理的な距離、社会的な抑圧、文化的な障害や経済的な周辺化によって引き起こされる情報格差(デジタル・デバイド)を解決することに誇りをもって取り組んでいます。事業を通じて現代の若者たちを応援していけば、明日には彼らが起業家として成功するかもしれないと信じているのです。そのため、我々は素晴らしい品質でありながら若者にも手の届きやすい価格の通信サービスを提供しています。熱意のある若者たちが彼らの祖国の提供すべき最新の情報およびコミュニケーション技術にアクセスでき、そこから利益を得られるようになってほしいと考えています。
 
 
-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?

 
市場を牽引する立場であるということは、常に競合他社に我々の地位を脅かされているということでもあります。すでに業界ナンバーワンとして成功を収めているため、組織として自己満足状態に陥ってしまい、より上を求めるハングリー精神を失ってしまうリスクもあります。社内ではスピード感がなくなってしまい、従業員はより過程に重点を置くようになっていき、新しいアイデアも枯渇しはじめています。それに対し、私たちを通信サービス各社ランキングで追いかける競合他社は気を抜くことなく、常に私たちに追いつけ追い越せのプレッシャーをかけてきます。
 
我々はパキスタン国内でブロードバンドサービスの提供を開始しましたが、未知の領域だったこともあり、戦略として成功しているとはいえません。サービス提供地域が限られているだけでなく、2014年にパキスタン政府が次世代携帯通信規格の3Gと4Gの事業者選定入札を行ったため、当社の資源はブロードバンドではなく、次世代携帯通信に振り向けられました。現在では当社はあまりブロードバンドを重視せず、この事業は2番目の優先度に甘んじています。
 
業界ナンバーワンとしての自己満足を克服するため、私たちは従業員の精神に新風をふきこんでいく必要があり、また一方、我々も管理職として自己変革をおこなわなければなりません。労働文化もリスクをとることや新しいアイデアに対して寛容となる必要があると考えています。
 
現時点で従業員としてどれだけ優秀であったとしても、新たな挑戦は必要です。従業員は何年も同じ仕事を同じようにこなしがちですが、健全な労働環境を実現するためには、従業員に対して時にはいつもと違った業務を遂行する機会を提供する必要があると思います。それにより、従業員は単調なルーチンワークから解放され、新しいスキルを学ぶことができるのです。
 
当社の2017年の事業計画のうちの一つは、ブロードバンドサービス向上へ注力していくことです。首都イスラマバードを手始めにブロードバンドサービスを向上させ、その後カラチやラホール、さらにはパキスタン全体にその波を広げていく計画です。

 
-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。

 
当社は通信事業分野における国際的な大企業、ヴィンペルコムの子会社です。ヴィンペルコムは現時点でロシア、イタリア、アルジェリア、パキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、ウクライナ、バングラデシュ、キルギス、タジキスタン、アルメニア、ジョージア(グルジア)、ラオスの13か国で通信サービスを行っています。実際には、「ビーライン」、「キヴスター」、「ウィンド」、当社「モブリンク」、「バングラリンク」、そして「ジェジー」といった企業がブランドとして各国でヴィンペルコムの下、事業を展開しています。現在世界で最もダイナミックな市場の中で、ヴィンペルコムは20億人を超える顧客に音声通話、固定ブロードバンド、データ・デジタルサービスを提供しています。技術のパイオニアとしてヴィンペルコムが持つ、様々な変化を経ても変わらない強みは、個々かつすべての顧客がデジタルの世界にアクセスできるようにすることに注力していく原動力だと考えています。
 
 
-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?

 
当社の親会社であるヴィンペルコムはすでにグローバルに事業を展開しており、今でもその規模は拡大し続けています。我々モビリンクとしては、パキスタン市場で培ったノウハウにもとづく知識が強みだと考えています。
 
我々は顧客に対し、デジタル世界を思うように進んでいける新しい機会を提供するというビジョンを原動力に事業を展開しているテレコム企業です。現段階では音声通話、データ通信、さらにブロードバンドでパキスタン市場に力を入れていく方針です。当社はすでに飽和状態にあるパキスタン市場で、継続的にインフラとサービスの向上に取り組んでいます。現在、パキスタンには5つのテレコム企業が事業を展開していますが、他の国と同様、企業合併や買収の動きが広がっています。そのため、競争はより激しくなり、多額の投資が必要となってきています。日本市場への投資について言えば、投資に先立って、我々はまず現在の市場概況やトレンド、また日本企業との最適な関わり方を把握する必要があると思います。明らかに日本市場は素晴らしいチャンスに満ちていますから、将来的に市場調査を進めたいと考えています。
 
 
-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?

 
人材育成を行っていく上で、私たちは以下の3点に重点を置いています。一つ目は、意思決定の脱中心化を含む、従業員への権限委譲です。従業員には意思決定を自ら行うとともに、それにともなうリスクをとることも推奨しています。二点目は、風通しのよさ、信頼、誠実さといった価値を高めていくことです。また最後に、将来性のある従業員の質的な成長も重視しています。
 
 
-最後に、この度のHIDAプログラムに参加してどのような成果が得られたとお考えですか。今回の経験がどのように貴社の将来の発展に寄与すると思われるか、お聞かせください。

 
はじめに、我々が直面している課題を整理させてください。当社は6,000人の従業員を擁する巨大企業であり、とても優秀な人材が当社で働いてくれています。ただしこれまで、彼らは横のつながりなしに自身の職務にのみ集中しているという問題がありました。そのような環境では、才能を持つ多くの個人が集まっていても、新しいアイデアを生み出すプロセスを活性化させることが難しいのです。この状況の解決を図るため、今回私がHIDAのプログラムに参加しました。我々の目標は、従業員と互いに協力し合って新しい試みにチャレンジしていくことです。また、従業員には権限と責任を担ってもらうとともに、自らリスクをとったり意思決定を行ったりしてもらえる環境を作りたいと思っています。我々は従業員の間でお互いに協力していくことを推奨してきました。これからもそうしていくことで、従業員が新しいアイデアをお互いに語り、また我々管理職に提案してもらえるようにしていきたいと考えています。
 
 
ご協力ありがとうございました。

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各国の同窓会メンバーは製造業を中心とした企業経営者・管理者、相手国政府・公的機関の有力者や技術者で構成されています。この信頼性の高いネットワークを通じて、工業部門を中心とした調査やパートナー企業探しが可能です。
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