経営者インタビュー

『スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの近代的流通市場で約45%のシェアを持つ』 ~スリランカの大手小売事業会社役員に聞く スリランカ

2016年12月26日(月)13:30

Cargills (Ceylon) PLC
Mr. L. Sajith Sameera (Chief Information Officer)
Sri Lanka
 
 
Cargills (Ceylon) PLC Mr. L. Sajith Sameera (Chief Information Officer) Sri LankaHIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
 
今回、スリランカで「カーギルズ・フード・シティ」の店名で知られる近代的小売業を主に手がける参加者にお話しをうかがいました。


-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
 
 
カーギルズ(セイロン)PLCは、スリランカの大手の小売、FMCG(日用消費財)およびレストラン企業であり、1844年に設立されました。「カーギルズ・フード・シティ」は当社の店舗のブランド名ですが、スリランカで最大の近代的な小売店であり、スーパーマーケット、コンビニエンスストアおよびハイパーマーケットの近代的流通市場で約45%のシェアを誇っています。当社はコロンボの証券取引所に上場しており、資本金は約2億5,000万米ドルです。
 
カーギルズは、乳製品、加工肉、加工果物、飲料および菓子部門を対象として最先端の加工設備による製造も行っています。当社は、スリランカで一番の乳製アイスクリームブランドであり、二番目に大きい民間の乳製品の会社です。当社は、ネクター、ソース、ジャムおよびジュースの大手ブランドでもあり、「キスト」ポートフォリオの下でビスケットの新興ブランドでもあります。その他のカーギルズ製造ブランドもあります。加工肉のサムズ、ゴルディおよびファイネスト、加工果物と野菜のキスト、アイスクリームと乳製品のマジック&コトメールです。
 
スーパーマーケットの経営と製造業に加えて、当社は、KFC(ケンタッキーフライドチキン)のフランチャイズを行っています。また当社は、国際的な大手QSR(クイックサービスレストラン)のスリランカのフランチャイズです。カーギルズグループは、民間の商業銀行(カーギルズ銀行)も含んでいます。
 
現在、スリランカでのカーギルズの経営上の数字は以下のとおりです。
 
  1. 300店を超える「カーギルズ・フード・シティ」スーパーマーケットとコンビニエンスストアがあります。
  2. 27店を超えるKFCレストランがあります。
  3. 大量市場への流通を確保していて、5万もの食料品店に供給しています。
  4. 島全域に10を超える野菜と果物の収集センターがあり、そこから各スーパーマーケットに生産物を流通しています。
  5. 1万を超える登録青果農家および1万5千を超える登録酪農家から生産物を購入しています。
  6. 22の冷蔵センターがあり、そこから製造工場に配送しています。
  7. 農家を除き、島中に8,000人を超える従業員を有しています。

 
 
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。
 
 
当社のミッションは「愛ある食品」です。若者のスキル向上、生活費の軽減および地域格差の解消を基本として当社の中核的事業を通し、持続可能な方法で、農村地域、当社のお客様およびその他すべてのステークホルダーに仕えることです。
 
1844年に卸売業および小売業として当社が創業してから、スリランカの飲食料品業界で主要企業として進化していく過程で、当社は信頼と尊敬の文化に基づいてきました。これは、当社が事業を行ううえでの基準となっています。当社は、誠実に、責任をもって経営しています。当社は、責任ある方法で、環境に対する影響を軽減し、我々が生活し働く社会を改善しながら、消費者の役に立つよう尽力しています。人々を養い、当社が事業を行う農業、食品、工業および金融市場全域で責任をもって経営を行うリーダーとなるという当社の目標に情熱を注いでいます。
 
人々を養うこと:
当社の事業の広がりと領域は、比類なき視点を当社に与えています。そして、その幅広い観点が責任となります。当社は、環境を保護しながら、増加する人口を養うため全力を尽くします。農家がより多くの食物を、より持続的に生産するよう支援する新しい方法を発見すること、また、余っている時と場所から足りていない時と場所に食品を移動するためのより効果的な手段を開発することを継続していきます。当社は、従業員の才能と信念により、すべての人々が安全で、栄養があり、手頃な価格の食品を手に取ることを保証するという課題を果たせるよう支援できることを知っています。
 
責任をもって経営すること:
当社は、将来の世代に世界が供給する能力を損なうことなく、現在の需要に合致することに重点を置いています。当社の責任は、当社自体の経営を超えて、当社のサプライチェーンのサプライヤー、パートナーおよびその他のステークホルダーにまで及んでいます。責任あるサプライチェーンは、人々および人権を尊重し、安全で健康に良い食品を製造し、動物を人道的に扱い、最善かつ最も責任のある農業の実践を推進し、環境に対する影響を軽減します。これには、国土保全や希少資源保護も含まれます。これらを実現するためには、開発された市場および新興市場全体ですべてのステークホルダーと協力することが必要です。当社は、自らが管理し、影響を与えることができるサプライチェーンの問題に対し、測定可能な進歩を示すよう努力しています。
 
指針を守ること:
カーギルズは創立以来、事業活動の高い水準を厳守することを大事にしています。当社は、行動規範に準拠しており、これは1世紀半を超える事業および地域参画を通し受け継がれる、一連の強い価値観と倫理観に基づいています。会社として成長する当社の能力は、当社が人々にどう接するか、地域社会をいかに豊かにするか、お客様にいかに良いサービスを提供するかに左右されることを、当社は知っています。従業員の努力により、カーギルズは、利益を上げられるように成長するのと同時に、多様化、拡大、相互接続する世界の需要に合致するための責任が広がっていきます。
 
 
-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?
 
 
当社の事業目標:
経営効率を向上すること。当社は、5年以内に小売店舗を1,000店に拡大し、お客様、農家、サプライヤーおよび従業員とつながり、相互対話、分析を伴ったデータ重視の意思決定文化を有することを望んでいます。
 
[課題]
 
旧式で、昔ながらの技術基盤、内部/外部システムとの統合の欠如、多くの非能率的な手順や手続、情報の正確性およびデータ安全性の課題。さらに、技術イノベーションを通じて事業を拡大する機会があげられます。
 
[課題に対する対応策]
 
現在のITインフラストラクチャーの更新、最先端の技術基盤、自動化、統合、電子商取引プラットフォーム、企業間電子商取引、ビジネスプロセス改革、BI(ビジネスインテリジェント)プラットフォームを伴う新たなITシステムの導入。
 
 
-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。
 
 
カーギルズは、現在、完全に現地市場に重点を置いており、世界市場での取引はありません。
 
 
-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?
 
 
カーギルズは、世界市場での新しい事業機会について検討します。カーギルズは、新鮮な果物/新鮮なミルクを使用して、乳製品、チーズ、香辛料、ミネラルウォーター、ソース、ジャムおよびジュースを製造し、販売する食品会社です。さらにカーギルズは、全国規模の収集センターネットワークを通じて、新鮮な青果の国内最大の収集業者の1社となっています。したがって当社は、これらの品目を一定の付加価値を添えて国際市場に輸出する潜在能力があります。
 
 
-貴社ビジネスが属する、自国におけるマーケットの状況について教えてください。
 
 
1.    近代的取引市場(スリランカにおけるスーパーマーケットの意味):
近代的取引は、スリランカの総取引の約15%に留まっています。その成長および普及の可能性は非常に大きいです。カーギルズ・フード・シティは1983年に設立されましたが、スリランカでの近代的取引への変換の先陣を切り、また、品質、価格、信頼性および食品の安全に重点を置いた、より良い購買体験を求めるお客様の上方移動を先導してきました。当社は現在、各島の25の地区で営業を行い、307店舗を有しています。これらはスーパーマーケットまたはコンビニエンスストアの形式です。近代的取引の分野には、キールズ・スーパー、ラフサンアップ、アルピコおよび国が経営するサトサ(商品価格の管理を通して生活費を調査することを意図する福祉モデル)などの競争相手も含まれています。収益の点では、カーギルズ・フード・シティは現在、近代的取引市場の50%近くを占めています。

2.    2015年/2016年の小売業の収益分布は以下のとおりです。

 

  • カーギルズ – 44%
  • ランカ・サトサ – 22%
  • アルピコ – 17%
  • キールズ・スーパー – 17%


3.    スリランカの近代的取引における機会については、以下のとおり掲げることができます。

 

  • 総取引の15%を占めるに過ぎない近代的取引
  • コロンボ以外での小売店舗の積極的拡大
  • 食品の安全および品質に対する認識と需要の拡大
  • スリランカの西部州の外での経済成長の急上昇
  • 1人当たりの所得の増加および中流階級の出現
  • 足取りを進める価格指導戦略


4.    カーギルズ製造業(FMCG)の状況は以下のとおりです。
当グループのFMCG部門は、専門の経営首脳が指揮していますが、新鮮なミルクの調達のための22の収集センターと共に、8つの製造ユニットおよび1つの主要加工施設を有しています。当グループのFMCGブランドは、産業イノベーションを導いてきた国家ブランドであり、インド、モルディブおよび中東への限定的輸出と共に、スリランカ内に広く流通しています。当社の原材料の主な供給源は、鮮度と品質、および地域成長への貢献を保証する現地の小規模農家です。 

 

  • カーギルズ製造業の57パーセントは、アイスクリーム、プレーンとフレーバー付きの低温殺菌およびUHT(高温加熱処理)ミルク、ヨーグルト、カードならびにチーズなどの製品の包括的なポートフォリオによる乳製品事業で構成されています。
  • 当社は、ネクター、ジュース、ジャム、ソースおよびコーディアルなどの様々な分類の領域を通じて農産品加工を行っています。(農産食品の売上高は19%)
  • 当社は、ソーセージ、ミートボールおよびその他の食品などの生および加工肉の需要に応える精肉施設を有しています。(精肉部門の売上高は16%)
  • 当社は、ビスケットおよびウエハース工場を通じて菓子部門にも従事しています。(この分野の売上高は8%)
 

-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?
 

 
当社には8,000人の従業員がいるため、個々の従業員に集中することは大変難しいです。彼らは国中に散らばっているので、対話式の会合をもつことは困難です。当社は、1年中毎日、午前8時から午後11時まで営業しています。従業員を教育し、営業基準およびサービスを継続的に維持することは、当社に標準営業手順があっても、高い離職率のため非常に難しいです。
 
当社は現在、グループでEラーニングカルチャーを開発しており、従業員が特定の資料などを調べ、内容を理解したかを確かめるため質問に答えるEラーニングプラットフォームを提供しています。従業員の実績および評価手続はEラーニングプログラムと連結しています。
 
また当社は、社内での連絡やニュース、メッセージなどの共有のためソーシャルメディア型プラットフォーム/ポータルを従業員に提供しており、相互に対話するフォーラムを有しています。これは、非公式なチャネルとなる場合もあり、経営陣であっても、これを非公式な連絡に使用することができます。美術コンテストなどのイントラネットを使用した視覚的イベントが、従業員間の対話を深めるために企画されることもあります。
 
 
-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。
 

 
日本に来るのはこれで3度目です。最初に来たのは1999年で、2度目は2007年でした。
 
日本や日本企業について私が実際に見て、最も注目に値すると思うことは、日本ではすべてを非常に念入りに行っていることです。彼らは何かを行う前に、とても入念に計画します。計画過程で、細かな事実さえ検討します。実施段階では、誰もが、いつ、何を行わなければならないかを知っています。明確に定めた手順および指示を伴った計画または予定があり、人々はそれに従わなければならないのです。このHIDA研修プログラムにおいても、手本にできるものが多くあります。
 
一方で日本人は、計画に従い、これを厳守し、強制や規制がなくても基準を定めます。彼らは、当初の計画または基準から逸脱しません。このように、日本人は計画段階で決めたことに従うため、計画の実施は容易です。彼らは、計画に従いなすべきことに集中し、横道にそれません。したがって、彼らは行うことすべてに一貫性を保つことができ、計画したことを常に達成することができます。これが、公的な場所であろうと、民間企業であろうと、訪れたすべての場所で、私が注目したことです。これにより、日本人および日本企業は、その製品およびサービスに一貫して高い品質水準を維持することができます。これが、人々が購入前に「これは日本製か?」と聞く理由です。
 
道路、鉄道駅、店舗、製造業者、農家、どんな場所でも、日本人は定めた基準および規則に従います。誰であっても例外はなく、たとえ会社の会長または下級労働者でも基準は同じであり、彼らはそこから逸脱しません。一例として、彼らはエスカレーターで上がる際に左側に並びます。そして急ぐ人がいれば、問題なく列を追い越すことができます。私は、これは日本の法律ではないですが、人々は、日本が定めた良い習慣であると考えるから、ただ慣行によって従うのだと知っています。しかし私は、その他の国にこのような習慣があるのか知りません。
 
これらの手順、計画および指針を徹底して策定し、遵守することが、日本および日本企業が、全期間を通じて、その製品やサービスの品質を一貫して維持することができる重要な要因の一つなのだと、私は思います。
 
 
ご協力ありがとうございました。

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