経営者インタビュー

『企業文化が他社との差と競争上の強みを生み出す』 ~ベトナムの機械・電気(M&E)部品の製造・供給会社社長に聞く ベトナム

2016年10月3日(月)10:15

Cat Van Loi Industrial Electrical Equipment社
Mr. Le Mai Huu Lam (Director)
Vietnam
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Mr. Le Mai Huu Lam (Director)​HIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

今回、ベトナムで工場・高層ビル用HVACの設置のための機械・電気(M&E)等部品の製造・供給会社を営む参加者にお話しをうかがいました。



-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。


Cat Van Loi Industrial Electrical Equipment Co., Ltd (Cat Van Loi Co., Ltd)は2007年7月に設立され、ベトナムにおいて低圧電気機器、火災警報器・消火システム、工場および高層ビル用HVACの設置のための機械・電気(M&E)部品の製造・供給を専門に行っています。現在、総従業員数は70人です。CVL社製品の製造プロセスはTUV-TUDが認証する品質管理システムISO 9001:2008で管理され、全製品が輸入製品と同質、同等のものになるよう保証しています。 

当社の業務範囲は、主に以下のとおりです。
G.I.コンジット(EMT, IMC, RSC, BS4568, JISC8305, IEC81386)および付属品の供給
液密性のフレキシブルコンジット/PVCコーティングのフレキシブルコンジットおよびコネクターの製造
スチール製スイッチボックス、ジャンクションボックスIP67、コンジットボディ LB, T, LL, LR, EMTカップリングおよびコネクターの製造
亜鉛メッキ/HDG寸切りボルト、ビームクランプ、パイプハンガー、コンジットハンガーの製造
Unistrut/C -channel 41x41/41 x 21、ばね板ナット、コンジットクランプおよび付属品の製造
銅メッキ設置棒、エアロッド、銅/アルミベアテープ3 x 25 mmの製造
ケーブルトレイ/はしご/トランキング、ワイヤーメッシュケーブルトレイ、エア・ルーバー、グリル、ディフューザーの製造

当社の製品はPosco E&C社や、㈱きんでん、新菱冷熱工業㈱、㈱サンテック、日立製作所㈱、㈱東芝、丸紅㈱、㈱ユアテック、㈱関電工等多くの日本企業からも契約先として選ばれて推奨されています。実際に2010年から2013年において、日本貿易振興機構(JETRO)による「南ベトナムにおける優良企業」の一社として選ばれ、ベトナムにおける信頼できるパートナー企業として日本企業に紹介されました。


-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。


当社の哲学は、「企業文化が他社との差と競争上の強みを生み出す」です。
2016年、役員会は世界展開に向けて、今年をCAT VAN LOI Co., Ltd.における経営・ビジネス哲学の再編・変化の年と位置付けました。これは松下幸之助氏のビジネス哲学をベースにしています。「変化」と「素早い適応」が当社の世界における競争戦略の2つの柱です。特に現在、ベトナム市場は世界市場と完全に一体化しつつあります。2016年以降、多くの自由貿易協定に参加し、アセアン経済共同体にも参加していることから、これはとても重要な点です。改善が必要な点としては、主に以下の3点があります。
 
1. 顧客の重視:当社はカスタマーリレーション部門を新設し、常連客に電子メールや注文後のお礼のはがきを送って気を配ったり、商品受領後に顧客からのフィードバックやコメントを回収して毎週販売部門に報告したりしています。また、毎週土曜日の午後に販売部門の全スタッフを対象にカスタマーサービス研修を行い、コミュニケーションスキルを強化して顧客への対応を改善することを目指しています。段階的にカスタマーサービスとカスタマーケアを改善し、日本のカスタマーサービスと同じレベルで、心から顧客にサービスを提供できるプロフェッショナルなスタッフを育成することが目標です。
 
2. スタッフ:CAT VAN LOI社のスタッフ一人ひとりを家族として、またCAT VAN LOI社の内部顧客としてみなし、CAT VAN LOI社が2つ目の家族になれるよう、チームビルディングなどのアクティビティや、毎週土曜日午後の研修(報・連・相-PDCA、ソフトスキル、問題解決スキル、チームワークスキルなど)、団体医療保険、毎日午前9時と午後3時の体操、チャリティ・社会的責任活動、職場精神の向上(例:月1回の誕生会、年1回の社員旅行など)、年末の優秀なスタッフへの報奨などを行っています。また、役員会は会社のビジョン、使命、コアバリュー、取り組みを全スタッフと共有し、各スタッフが社内におけるその役割を理解して、会社の今後の持続可能な発展に貢献できるように研修を実施しています。当社の社員は自らが担当するすべての仕事と責任を自分のものとして捉えなければならないのです。
 
3. ビジネスプロセス:報・連・相-PDCA活動が各部門で導入され、部門間のコミュニケーションの改善により問題解決能力および生産性が向上しました。さらに、KPIと作業手順も各部門に導入され、スタッフのモチベーションを高めるとともに、ミスや無駄な時間を減らし、作業効率を高めるのに役立っています。
 

上記のアクションは、「明日のために今日を築く」という当社の経営理念を継続的に追求するものです。


-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?


以下の3点が当社の課題です。
1. 2016年よりアセアン諸国や他の国々・地域との間で貿易自由化に向けたプロセスに向かっているベトナム市場を取り巻く外部環境
2. 知識や技術のある従業員の乏しさ
3. 経営・管理能力の欠如並びに統合能力の弱さ


これらの課題を解決するために、役員の間で何度も会議を行い、SWOT、3C、PESTLE分析、5フォース分析やブレインストーミングを行って、今後に向けた最適な競争戦略を立てられるようにしています。戦略とソリューションは、人的資源、顧客、製品の継続的な品質改良に焦点を絞っています。
 
1. 人的資源:2013年から2016年までに、全役員がJICAのビジネス実務研修に参加し、現在の厳しい競争環境を生き抜くため、企業経営スキルの改善とビジョン中心の考え方を学びました。このアクションにより、マネジメントの思考とビジネス哲学が大きく変わり、単純な状態から、会社のビジョン、使命、コアバリュー、取り組みを築けるようになりました。経営陣のリーダーシップはここ数年で大幅に改善しています。さらに、中間管理者も全員、ベトナム・日本協力センターで開催される報・連・相-PDCA、KPI、日本式カスタマーケア&カスタマーリレーション、倉庫・事務所向け5Sなどの短期研修を受けています。これらのマネジャーは、獲得したすべての知識を毎週土曜日の午後に部下と共有し、日々の業務で実践しています。
 
2. 顧客:当社ではより優れたサービスを提供し、顧客データベースを管理するため、CRMシステムを導入しました。優れたサービスもデータベースも、B2Bプラットフォームで顧客ロイヤルティを獲得するために欠かせない要素です。さらに、電話カスタマーケアチームを作り、商品受領後のフィードバックやコメントを回収して、品質やサービスの弱点を探っています。
サム・ウォルトン氏の言葉に、「ボスはひとりしかいない。それは顧客だ。顧客は単によそでお金を使うだけで、会長から平社員まで、会社の全員をクビにすることができる」というのがありますが、スタッフ全員がこのスローガンを暗誦し、すべての行動に反映させています。
 
3. 製品の質:当社の製品はすべて、定評ある第三者のパートナーが認証する国際基準に従って製造し、海外の契約業者の要件を満たさなければなりません。R&D活動が、当社を確実にベトナムのM&E材料分野におけるパイオニアにし、また、「ブルーオーシャン戦略」を維持できるものになるよう注力しています。これは重要な要素であり、必須の条件なのです。


-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。


アセアン経済共同体は2015年12月31日に効力を発し、多くの自由貿易協定(FTA)は2016年から効力が発揮されます。それにより、ベトナムの中小企業が東南アジア10カ国に製品を輸出するにあたり、多くの課題と機会が生じてきています。当社の製品はカンボジア、ミャンマーそしてラオスの工場、建物建設向けに輸出しています。当社は近い将来、我々の市場を広げるために、カンボジアに代表事務所を設立しようとしています。「素早い適応性」と「付加価値のある製品」が、我々が世界や各地の市場の傾向をつかみ、予測するための実施戦略の主なポイントとなります。ベトナムは世界ではまだ貧しい国ですが、政治的支援・政府資金などの良い環境が整えば、将来的に発展できる可能性を秘めています。


-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?


私が重要であると思っている点は以下のとおりです。

- 信頼と社会的規制は日本企業を含め海外企業と共に仕事をして行く上でとても重要
- 規律や訓練は特に必須項目
- どのような仕事においてもWin・Winアプローチで解決すべきである
- 製品品質及び見た目のデザインも優先順位の高い項目である
- 心をこめて業務にあたり、物事の詳細に気を配り焦点をあてる
- 顧客ケアと良好な顧客関係が効果的な活動
- 日本企業と協業するときには、時には忍耐も必要


-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?


継続的に学び、人の知識や技術を向上し続けることがキーポイントとなります。今日においては、全てのものが急激に変化してきています。それゆえ、パナソニックグループの松下幸之助氏が述べたように、成功への鍵は学び続けることなのです。実際、当社ではどの階層の管理職も、グローバルな環境下において知識や技術を高めなければなりません。CAT VAN LOI社の代表として、会社を元気付け、管理・運営を行い、競争の激しい環境下においても困難を克服し、当社の発展に専念させる従業員の強固な精神・感性を作り上げることが、私の役割であると認識しています。

しかしベトナム企業においては、日本とベトナムの文化の違いによりトップレベルから従業員に至るまで、日本のマネジメントスタイルを全て適応することは難しいです。これがベトナム企業の発展における主な障壁なのです。ベトナム産業の変化に対する我々の精神を持って、将来当社のどの活動においても現代的な考え方や日本的価値を適用していき、我々の価値をベトナム社会にささげて行くことにベストを尽くしていきたいと思います。


-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。


日本人に関して感心する印象的なポイントは以下の三点です。

ハート(心):
変化に関するバリュー、明日のために今日を構築するバリューについて理解しました。「マインドが変われば、生活もおのずと変わる」というスローガンや日本人の感性・精神性に感動しました。今回の日本での研修後、我々の情熱を、親しみをこめて深い温かみのある笑顔で、リーダーのハートを当社従業員全員に伝えていきたいと思います。

グローバルな考え方:
日本企業におけるビジネスの価値、哲学、ビジョン、ミッションなどの戦略的な考え方、問題を探知する能力、問題解決力、そしてリーダーシップのグローバルな考え方を高める能力について理解することができました。

日本人のスピリット:
コミュニティの価値を反映し、人的価値に焦点をあてた日本人のビジネス精神があります。これは今回訪問したある日本企業で特に印象的でした。彼らはいつも個人的興味より地域社会への利益を重視していました。このスピリットを学び、地域社会の価値や人的価値、献身的価値について理解できました。


ご協力ありがとうございました。
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