経営者インタビュー

『我々のビジネスをさらに成長させるためには世界に向けて事業を拡大し、ダイナミックな機会に満ちた市場に参入していくことが必要』 ~自動車産業を主として多角的な事業を展開するエジプト企業役員に聞く (2/2) エジプト

2017年4月14日(金)10:00

※本記事は2回に分けて掲載します。
  本記事は第2話の掲載分です。
  <第1話はこちら>

Seoudi Investment Group (SIG)
Mr. Maged Mahmoud Mohamed Ahmed (Corporate Planning Senior Director)
Egypt

Seoudi Investment Group (SIG) Mr. Maged Mahmoud Mohamed Ahmed (Corporate Planning Senior Director) Egypt-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?

 我々のビジネスを企業オーナーや株主の方々の期待に沿うレベルに維持し、さらに成長させるためには、世界に向けて事業を拡大し、よりダイナミックな機会に満ちた市場に参入していく必要があると考えています。
 海外へのビジネス展開を図る主な目的は以下の通りです。
1)経済的、もしくは政治的なリスクを最小化して健全な経営を実現するため、グループの投資先と顧客の多様化を図ること、
2)新興国における新たなチャンスやプロジェクトの希求により、国内市場での競争から抜け出してグループの規模を拡大すること、
3)異なる国に異なる経営資源を持つことで機会費用を下げ、利益率を増加させること。

 グローバル市場への参入は、エジプト国内における別都市への事業拡大とは全く異なります。諸外国には我々がエジプトでの事業で経験してきたものとは別の、各国独自のリスク要因やファクターが存在するため、成功を収めるためには海外市場に打って出る前に、対象となる国について十分に調査を行わなければなりません。

 高い成長可能性を持ち、参入した場合に多大な利益を得られると思われる国もありますが、同時にその国にある本質的なリスクに対処しなくてはなりません。一方、安全に新たなビジネスを立ち上げられるような安定した環境が整っている国では、逆に前者と同じだけの素晴らしいチャンスは得られないでしょう。ベストの選択を行うために、我々は各国独自のファクターのうちいずれを重視するか、どのように総合的にみて最もよい機会をつかむことができるか、どのように新しい事業計画を策定するか、といったことを慎重に考えていかなくてはならないと考えています。
 
 どの国に事業を拡大するかを決定した後には、その国の市場の特徴や競合他社について調査を行うことで自社製品をどのようにローカル市場に位置づけるべきかを理解し、またローカル市場や顧客の需要に応えられるよう自社製品をカスタマイズする必要があります。例えば、当社が現在ヨーロッパ市場向けに生産しているパジャマといった衣料品をアフリカ市場に展開したいと考えた場合、アフリカ人にはアフリカ人独自のライフスタイルや需要があるため、単にヨーロッパ市場向け製品をアフリカで販売しても上手くはいかないでしょう。アフリカの内部でさえ、国や地域によって求めるものは異なります。自動車を例にとれば、リビアの人々にはガソリン自動車が好まれる一方、他のアフリカ諸国ではディーゼルエンジン車が人気です。

 このような事前調査や考慮の必要性に加え、競争力のある価格や事業拡大のタイミングも、成功するために重要な要因だと思います。


-貴社ビジネスが属する、自国におけるマーケットの状況について教えてください。

 エジプトは中東諸国の中で最も大きな市場の一つであり、9,200万人という人口を擁することから、アラブ世界の中でも特に有益で魅力的な市場といえます。現在では、教育を受けており偏見がなく、SNSのような新しい技術やツールに慣れ親しんだ若い世代が、エジプト経済の原動力となっています。

 「エジプト革命」とそれに続く政治的出来事の悪影響が残っているとはいえ、エジプトの経済はGDPが拡大するなど、拡大の傾向をみせ始めています。2010年から2014年までの年間GDP成長率平均が2%にとどまっていたのに対し、2014-15年度や2015-16年度のGDP成長率は4%に到達しました。

 当社の主力事業分野である自動車製造業においては、ゼネラルモーターズ(GM),BMW,日産、トヨタ、ヒュンダイといった競合他社との激しい競争に直面しています。また2016年には、外貨準備不足と顧客の購買力低下により、2015年に比べエジプト国内の自動車販売市場自体が30%縮小しました。この厳しい環境の中でマーケットシェアを維持するため、価格をリーズナブルに据え置きながら製品の品質を向上させることや、販売後のアフターサービスをさらに充実させることで顧客満足度を高め、自社製品のファンでいてもらうことに力を入れて取り組んでいます。例えば当社は国内にいくつか自動車の整備や修理のためのサービスステーションを有しており、そこで顧客の皆様は当社内部や外部で適切なトレーニングを受けた高いスキルを持つ技術者によるサービスを受けることができます。


-日本を含め、他国と自国における商慣習には違いがあると思います。自国での働き方に関する考え方、業務文化、国民性など、他国との際立った違いがあればご紹介ください。

 エジプト人のほとんどがイスラム教徒であるため、外国の方がエジプトを訪ねる際には、イスラム教の価値観や宗教的な実践を尊重していただきたいと考えています。例えば、金曜日はイスラム教で定められた礼拝の日でありお休みとされることから、エジプトでは一週間は土曜日に始まり水曜日に終わります。また、会議の予定は早めに設定しておき、会議当日の1日か2日前に確認をとって確定させるという習慣があります。エジプト人の多くは英語やフランス語を話しますが公用語はアラビア語であるため、書類はアラビア語と英語の両方で作成するとともに、世界的に使用されている太陽暦だけでなく、アラビア暦(イスラム暦、ヒジュラ暦)での日付も記入しなくてはなりません。

 人と会う際、エジプト人は男女問わずほとんど全身の肌が隠れるような服装をします。男性の間では挨拶としてよく握手をしますが、親しい友人同士では両頬にキスをすることもよくありますし、男性同士で手をつないで歩くことも一般的です。

 また、エジプトは身分や地位を強く意識する社会であるため、肩書きはとても重要です。エジプト人に呼びかける場合には、必ず先生、教授、「~さん」といった敬称を名字に付ける必要があります。


-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?

 人的資源がどのように組織としての成功に影響を与えるかを鑑みて、人材は当社を発展させていく上で要であると考えています。

 当社における人材育成を強化する上で、私が常に肝に銘じかつ注意して見守っている点は、従業員のトレーニングと能力の向上、および従業員の満足度の2点です。1点目について当社は従業員に対し、トレーナーを育成するトレーニングコースや、日本人の専門家が行うトレーニングなど、様々なトレーニングの機会を提供しています。2点目として挙げた従業員の満足度については、月間MVP、月次ボーナス、夏休み期間中のピクニック、自動車購入のためのローンなど、多くのロイヤリティプログラムを実施し、満足度の向上を図っています。

 エジプトの企業が人材育成に関して直面する最大の課題は、高い離職率ですが、当社は上記の様々なロイヤリティプログラムの実施により、離職率を下げることに成功しています。従業員に幸せを感じてもらい、モチベーションを維持してもらうという我々の努力が実り、より高い給与や地位を約束される形でヘッドハンティングされたにもかかわらず、従業員が当社にとどまる決断をしたケースもあります。


-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。

 つねに笑みを浮かべている人々による、調和のあるチームワークと一体感は本当に素晴らしいと感じました。あらゆる組織が生産性の高いチームワークを行うことに力を注いでおり、組織のメンバーは所属先に対して忠誠心を持ち、目標達成のために互いに助け合っていました。
 
 どのような組織においても、従業員やメンバーの潜在的な能力を開花させるために人材育成が重要な役割を果たしていました。また、日本社会全体については、日本人の社会に対する責任感や、環境、自然、また障がいのある方々に対する思いやりのある態度には感銘を受けました。
 
 日本での滞在を通じて私に言えることは、日本という国や日本に存在する組織の成功の背景にあるものは、物事のやり方や発展に敬意を持って接する人々のあり方であり、その土台には日本の文化と規律正しい態度があるということです。


ご協力ありがとうございました。
 
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