経営者インタビュー

『価値や品質を、まず社会に届けなければならない』  ~メキシコの水関連サービス・製品製造販売等手がける持株会社役員に聞く メキシコ

2016年9月13日(火)17:15

Aquor Sapi de C. V.社
Mr. Jorge Alvarez Tostado Pozas (Board of Director)
Mexico
 
 
ddjef6gpf5emveey8epb-a9b5f0da.jpgHIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
 
今回、メキシコで水関連のサービス・製品製造販売等手がける企業グループの持株会社を営む参加者にお話しをうかがいました。



-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
 
 
AQUOR, SAPI DE C.V.は、水に関連するサービスと製品の製造、販売、設置と、クライアントとアソシエイト、そしてコミュニティーに経済的価値と倫理的価値を創出するサービスを提供することを使命とする企業グループの持株会社です。
 
最初の会社であるGP Albercas, S. A.(Albercasはスイミングプールの意)は、1954年にメキシコ・モンテレイで私の祖父であるGerardo Pozasが設立しました。会社名はその後、Padmont S.A.に変更されましたが、現在もスイミングプールの建設・メンテナンスや、水フィルター、暖房装置、化学製品などの関連製品の販売を手掛けています。
 
1960年代後半に一族の第2世代が事業を引き継ぎました。一族は大きなビジョンを胸に、スイミングプールのメンテナンスなどの新しい製品やサービスを始め、事業を拡大し、メキシコ北部を代表するスイミングプールの建設業者となりました。私の伯父のFernando Pozasは、顧客の要望に十分に応えられるよう、新しいオフィスビルや倉庫などの新しい事業施設を建設しました。また伯父は、建設業界向けの木製のドアの製造やPVC(ポリ塩化ビニール)製のパイプや接続部品、その他水関連製品の販売も始めました。
 
1990年代の初頭になると第3世代が事業の経営を任され、将来に向けた急成長の基礎を作りました。Fernandoの5人の子孫が、既存の製品とサービスのラインナップを充実させ、建設やスイミングプール、灌漑や水処理などその他の水システム市場へのニーズの増加に対応できるよう、押出成形機を導入してパイプ製造業に参入しました。第3世代であるFernando Pozasの息子たちが率いるようになったグループは、生産に必要な原材料と輸入品を扱う国際的な大手サプライヤーと事業提携しました。
 
次々と新しい製品とサービスがラインナップに加わり、その結果、事業は急速に成長し、成長傾向を支えるために優れた人材の採用も増やしました。2006年にPozas兄弟は、アメリカでのPVCパイプシステムの販売を開始し、その後、それ以外の製品も加わり、2012年にはカリフォルニアのポリエチレンホース工場などでの製造を始めました。
 
水処理のための装置やサービス、化学製品、ポンプ、灌漑装置や消火装置などが、お客様にご満足いただくための「価値提案」に加わりました。これを成し遂げることができたのは有機的成長(本業の成長)と買収があったからです。
 
2014年に持株会社として設立されたAQUORは現在、パイプシステム部門と水システム部門の2つの部門で構成されており、メキシコとアメリカに80カ所以上の営業・製造の拠点を置いています。この16年間の売上年平均成長率は16%を上回っています。当グループでは1,700人以上の社員が、お客様のニーズに応え、株主価値を高め、そして人道支援団体への寄付などの社会的責任プログラムを通して社会に貢献するために、日々働いています。
 
 
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。
 
 
我々は、優良な事業環境を維持するために、社員、クライアント、そしてサプライヤーの間で価値、倫理、敬意の原則を掲げています。
 
経済的価値:正義と結束の原則に基づき、株主とアソシエイト、そしてコミュニティーのための価値の創造を追求しています。
 
倫理:クライアント、サプライヤー、アソシエイト、そしてコミュニティーに対する倫理観と誠実な行動を基本として毎日仕事に取り組んでいます。
 
敬意:社員同士、そしてそれ以外の人に対して相互に敬意を持ち、法律と環境を尊重するという原則を掲げています。
 
当社は情熱と高い期待を持って将来像を描き、戦略を策定して当社の計画に社員やクライアント、サプライヤーを関与させます。私の個人的な信念は、「何事も可能である。まずは何をするか、次にどのようにするかを考え、目標を高く掲げ、実践すれば成功する」です。
 
当社は、お客様の期待を上回るようプロセスの質とサービス水準を着実に向上させるために努力し、お客様の当社へのロイヤルティ構築、ならびにwin-win関係作りに優れた会社を目指しています。
 
AQUORは、コーポレートガバナンスと意思決定プロセスを確立し、「説明責任」の文化を実践しています。我々は継承プランを策定し、未来をリードする一族の次世代メンバーを育てます。
 
 
-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?
 
 
世界は連通管のように相互につながっていますので、時折やってくる経済の不安定さという「突風」は、我々の日々のビジネスにとっては大きな課題です。為替や商品価格の変動は、マネジメントチームに素早く適応し、先を見据えて計画を立て、慎重かつ巧みに行動することを求めます。
 
当社は毎週ミーティングを開き、経営状況や売上をモニターし、意見を交換してタイミングよく是正措置を取るようにしています。3カ月に1度は取締役会会議を開き、会社の業績を検討し、予算からそれている部分を解明して意思決定を行っています。
 
もうひとつの課題は「人材」です。ビジネスが急速に拡大していますので、当社は売上を伸ばすために新しい工場と倉庫の開設と運営を手伝ってくれる、優秀で経験豊富な人材を必要としています。
 
この課題に対処するために、人事部は今後の工場と倉庫の開設に備えて新しいポジションに適任の候補者を探しています。社員がバリューチェーンの中で助け合いながら協力して働くようにするためには、組織文化も非常に重要です。
 
さらに、競争力のある価格と品質の製品を提供するためには、適切でコスト効率の良い工場運営が不可欠です。当社は、機械のメンテナンスをタイムリーかつ適切に行うようにしており、そのために必要な製品とサービスの品質を重視したトレーニングプログラムを社員に実施しています。成功のためには原材料のサプライヤーが極めて重要です。ですから、当社はこうしたサプライヤーと非常に良い関係を作り上げ、競争に負けないように最高の品質と最適なコストを選択してきました。
 
内部統制も大きな課題です。会社が急成長しているときには、不正を見つけるためだけではなく、プロセスを改善するためにも適切にコントロールしなければなりません。それゆえに、当社は1年を通して監査スケジュールを組んで実施し、統制を改善することができるようフィードバックを事業部門に提供する、監査委員会を置いています。内部統制とは内部監査部だけではなく、組織全体に関わることなのです。
 
 
-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。
 
 
現在当社は、国境を越えてアメリカ市場への進出を果たし、製品を中米やカリブ海諸国へ輸出しています。
 
 
-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?
 
 
当社は、パイプシステム部門も水システム部門もメキシコ市場ではすでに大手になっています。PVCパイプはその筒状の性質上、積載量には限りがあり、あまり長距離輸送をしていませんので、海外の事業を買収する機会があれば検討します。当社は「有機的(本業の成長)」にも「無機的(企業買収)」にも成長してきましたので、この点では十分な専門知識を持っています。
 
当社の主な原材料であるPVC樹脂を供給している日本企業がアメリカにあるということを申し上げておきましょう。この事実は成功のための重要な要素であり、国外で成長するためのカギでもあります。
 
 
-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?
 
 
人材は成功に向けての重要な要素です。会社が当社のようなペースで成長している場合には、適切な人材を採用することができるよう前もって計画を立てなければなりません。調和のとれたビジネス環境を作るために会社の価値を重視しています。当社にとっての中心的な価値は次のとおりです。
 
サービス: 内外のクライアントにとって最高のものを常に求めながら、お客様のニーズを把握するよう努力する。
 
信頼性: 約束と合意を守り、期待以上の結果を出し、仕事の説明責任を果たすことを組織の目標とする。
 
仕事と生活の質: 仕事でも生活でも上質を求め、きちんとした態度を取り、常に最善を尽くす。
 
結束: お互いを尊重することを生き方とするコミュニティーの一員であることを認識する。
 
技術分野と管理分野の両方で社員向けの良いトレーニングプログラムを実施し、人材を育て、より高いポジションに昇進できるようにすることも重要です。それには指導する人が重要です。そして、成長を支える協力体制がある環境を作るために、良好で意欲が持てるような組織文化がなければなりません。
 
 
-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。
 
 
私の物の見方を変え、素晴らしい学習経験となったのは、ある企業訪問をした時にその会社の社長が起業した時の経験談を話された時でした。その社長は、お客様に価値あるものを提供したかったし、お客様のニーズを理解するために一生懸命努力した、と言っていました。また、「お金を稼ぐことを考えるのではなく、品質やお客様が必要とするものを提供することを考えるべきだ。利益は結果としてついてくる」、「一生懸命仕事することなしでは結果は何も生じない」とも言っていました。我々がまず価値や品質を社会に届けなければならないと、これは私にとって大変な学習経験となりました。我が国では多くの場合、どのようにして利益を上げるか、についてまず考えがちなのです。
 
 
ご協力ありがとうございました。


 

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