同窓会・海外事務所レポート

メキシコ経済の現状と今後の見込み メキシコ

2017年1月10日(火)10:00

Mr. Marcos Escobedo メキシコシティ同窓会会長HIDA・AOTS同窓会は43ヵ国71ヵ所で結成され、自国の経済産業発展とともに、日本及び諸外国との友好関係増進のために尽くしています。
 
今回、ご自身でもコンサルティング企業を営むメキシコシティ同窓会会長に、現在のメキシコ経済と将来の見込みについて伺いました。
 
 
Mr. Marcos Escobedo
メキシコシティ同窓会会長
 
 
--メキシコ経済・景気の一般的な現状について教えてください。
 
メキシコ経済は過去8年間にわたって安定しており、緩やかに成長し続けています。また、インフレ率は3%に満たなく、年間成長率はおよそ2.5%となっています。
 
現政府は競争力を高め、これからの10年間にわたり、毎年4%を上回る成長を遂げるために、一連の構造改革を推し進めています。急速な経済成長を推し進めていくために最も重要な構造改革は、エネルギー改革です。油田においてより多くの外国投資を獲得するための、または石油やガソリン、ガスの生産増強や一般産業における価格競争力を得るために重要となります。
 
他の重要な構造改革としては、より競争力の高い賃金労働力を得るために設計されている労働改革が挙げられます。優れた専門家や技術者、熟練者が確かに仕事や責務に備えるために、教育改革もまた非常に重要です。そして最後に、電気通信における改革が、世界とメキシコにおけるコミュニケーション手段を向上させ、最新のデジタル技術を駆使していく上で重要です。
 
メキシコは海外からの投資家にとって面白い国です。それは、アメリカの近くに位置していることと、他のどこよりも安く、かつ競争力のある労働者がいることによるものです。自動車産業は、メキシコにおける疑う余地のない投資の例です。自動車製造においてメキシコは現在、世界で第七位の地位にあります。ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー、日産、トヨタ、ホンダ、マツダ、フォルクスワーゲンといった主要な自動車製造企業は皆、メキシコに工場を設立しています。
 
また観光産業は、メキシコの発展において別の重要な部門です。現在では、ヨーロッパ、アジア、カナダやアメリカからの観光客にとって、最も有力な目的地の一つとなっています。さらに、メキシコの輸出品の80%がアメリカ向けであり、その製品品質は高く、競争力が高いということも重要な点です。
 
投資に適した状況を整えるために、メキシコ政府は引き続き安全面に取り組んでいます。メキシコは住みやすい場所であり、良き投資先であると、私は思っています。
 
 
--アメリカ大統領の交代で、現在生じているメキシコ経済への一般的な影響、あるいは予測される影響についてどのようにお考えでしょうか。
 
ドナルド・トランプ氏が新しいアメリカ大統領になります。大統領選挙はアメリカの法律に準じてアメリカ国民によって行われ、2016年12月19日に承認されました。
 
メキシコは輸出製品の80%をアメリカに輸出していて、かつアメリカ企業からのメキシコへの投資は最大であり、メキシコはアメリカにとって重要なパートナーです。
 
メキシコ、カナダ、アメリカ間の北米自由貿易協定は現在、三カ国間における貿易促進の手段であり、既に22年*が経ちます。またメキシコは、経済強化や他の場所・地域への輸出を強化するために、競争優位性のある他の国と21の自由貿易協定を締結しています。
 
アメリカ大統領選挙後、アメリカとの関係に関する様々な噂といった懸念により、メキシコ経済は不安定な状態にあります。
 
先週*、メキシコペソは20%下落し、インフレは若干上がっています。また、2017年の成長見込みは下がり、金利はかなり上昇しています。低水準の原油価格という原油価格の世界情勢は、残念なことにメキシコに影響を及ぼしいていて、メキシコ経済に弊害を生んでいます。
 
私の見たところでは、1月のアメリカ新大統領の任期の始まりで生じる不確定要素のために、メキシコ経済は2017年の最初の数ヶ月間は不安定な状況が続くかと思われます。ある経済指標によると、成長率は1.5%程に過ぎず、インフレ率は5%程に上がり、原油価格は依然として低く、メキシコペソの為替レートは1ドル23ペソ程度になるといわれています。
 
しかし、混乱が過ぎ去って沈静化した後、2017年の終わり頃には、メキシコ経済は安定を取り戻していくと思います。また、メキシコ政府とアメリカの新大統領に率いられた政府との関係において新たなページが始まることでしょう。メキシコ・アメリカ両国の関係は良好化していき、両国にとってお互いを助け合い、次の段階の成長に進むことになります。
 

--アメリカ大統領の交代に伴い、メキシコの企業経営者は、企業経営においてどのような影響があると捉えていますか。
 
アメリカ新大統領による新しい政策は、概してメキシコの投資家・企業経営者・企業所有者・民間企業やその管理者にとって課題となります。

 
戦略的計画は、変化やリスクに対処する最も重要な手段です。トレーニングと教育は、企業の目的・目標を達成する上で重要な二つの要素です。
 
経営トップにおいて最も悪い弱点は、恐れやパニックです。ですから企業経営者達は、彼らの組織の成功を収めるために、自身の強みや好機を見直していくべきなのです。
 
私の見たところでは、アメリカは世界におけるリーダーシップを失わないだろうと思います。そしてアメリカ経済は安定し続け、成長していかなければならないと思います。もし企業の指導者がこのメッセージを理解すれば、その組織・企業は安定し、成長していくことでしょう。
 
 
--またアメリカ大統領交代に伴い、特にメキシコの自動車産業においてどのような影響があると、メキシコの企業経営者は考えていますか。
 

メキシコにおける自動車製造企業は、アメリカのみならず世界の他の地域にも自動車を輸出できるように、コストを削減し、競争力を強化するべく、各社の運営を最適化すべきです。
 
新大統領がアメリカ企業を守り、2017年~2018年においてメキシコに拠点を持つ企業からのアメリカへの輸出量の減少は、とてもあり得ることです。
 
2017年または2018年には、北米自由貿易協定が見直されるでしょうし、カナダ、アメリカ、メキシコの三カ国間における車の製造や販売について、新たなルールが検討されていくべきであろうと思います。
 
経営トップは彼らの意思決定プロセスを改善していく必要があります。またチームワークは、スピード良く業務をしていくことや、業務におけるより良い業績の鍵となります。
 
アメリカ新大統領はビジネス・企業経営経験を有しているので、メキシコとアメリカの製造業における競争を促していくことでしょう。なぜならば、我々は良き隣人だからです。デザインやイノベーションこそが、メキシコとアメリカ両国の自動車市場において共に働いていく方法なのです。
 
 
--上記二つの質問に関連しますが、メキシコの企業経営者はどのような取り組みをしていくと思いますか。またはどのような取り組みがなされるべきでしょうか。
 
不安定な環境下においても、競争力を高めるという目標を展開するために、経営トップは彼らの戦略的計画に磨きをかけていく必要があります。トレーニングと教育はコスト削減や生産性向上の鍵となります。もし他の海外諸国に輸出していく必要があるのであれば、納期とスピードは業務における目標となるでしょう。
 
また、経営トップは楽観的であるべきです。変化を成長や拡充の好機と捉える必要があります。データ分析や状況及び機会の分析は成功への鍵なのです。
 
アメリカはメキシコが必要ですし、メキシコもアメリカが必要です。両国は、良き友人であり、かつ競争優位性を保てる方法を探していくことでしょう。アメリカの経済力は我々にとって最大の盾であるので、メキシコはアメリカの最良のパートナーである必要があります。
 
日本はアメリカの他の戦略的パートナーです。そしてメキシコにおける日本の製造業は、アメリカ市場の近くに位置し、この恩恵を受ける好機となるでしょう。インタビューありがとうございました。
 
 
ご協力ありがとうございました。

 
Mr. Marcos Escobedo メキシコシティ同窓会会長

 
*本インタビューは2016年12月下旬に行われました。

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